2019年7月から2ヶ月ほど北海道でリモートワークができることになり、現在実践中です。
もともと特定の会社に正社員として所属している身ではありますが、リモートワークに至る経緯や今後の展望を書いてみます。
ざっくりとした経緯
今の会社に入社したのは2015年夏でした。当時は様々な思惑から東京とITから離れようとしつつ、それを口実に無職のまま半年ほど各地へ行ったりしていました。
とはいえ無収入で各地を転々としていればお金が無くなることは当然で、ひょんなことで面接することになった今の会社に就職することに。東京で最も避けたかった電車(通勤地獄)を解決するために社屋から徒歩数分の場所に住むことにしました。この職住近接の判断は大正解で、満員電車のストレスも溜め込むことなく、暑さも数分我慢するだけでよいものでした。また職場でも深刻なトラブル(邪悪な営業に殺されそうになったりとか)に遭遇することもなく、現在も在職しています。
しかし平和も長くは続かず、2017年1月に社屋が移転になり通勤地獄が再来。「社屋が移転してもまた社屋近くに引っ越せばいいだろう」と考えていた私は甘く、社屋付近(永田町)は現在の住まいのグレードを落としても家賃十数万円に高騰という状況で、私には手が届かないものでした。夏は灼熱地獄が加わり、2017年は歯を食いしばって耐えていたのですが、2018年は我慢が出来ず過大なストレスを抱えていました。
上司には「通勤地獄と灼熱地獄が辛く、2020年には五輪地獄が加わって息の根が止まることは明白なので、2019年の夏までにはこれらの地獄を抜本的の除去したい」と伝えていました。場合によっては退職も考えていると伝えましたが、もちろん退職は無計画や無責任にならぬよう、私がメインで担当している(メールサーバの移管といった)進行中の仕事を一段落させてからにすることも合わせて伝えました。
その際、上司から「夏が問題なら北海道でリモートワークすれば?」というありがたい提案を頂きます。最初は半信半疑だったのですが、2018年の年末辺りから本当にチーム内での議題に昇格。このときは、会社から補助をもらってチームの過半数が北海道のどこかに2019年の夏は長期滞在しながらリモートワーク…という計画で、私も複数人が安価に長期滞在できる箇所を探していたのですが、2019年の春頃には会社からの補助は無い(自腹で行くならOK)ということになり、「2019年夏、北海道リモートワークプロジェクト」は私一人だけのプロジェクトとなりました。
私一人であれば、実家がある音更町でいいかということになり、現在に至ります。
最近の働き方改革?
最近は働き方改革という言葉が飛び交っています。多様な働き方を推進していく試みと捉えることもできますが、その文脈の中で出てくるのが「リモートワーク」「テレワーク」といった、社員がそれぞれ自由な場所で働けるようにする手法です。
リモートワークはITの力があって現実味を帯びた手法ですが、IT企業でも数年前までは珍しい部類でした。最近は労働力不足といった背景による後押しもあり、IT企業も積極的にリモートワークを語るようになりました。もちろんチームメンバーが一箇所に集まっている以上に効率的なことは無いでしょうが、様々な理由で出社が難しい人もチームに迎え入れることができるリモートワークは労働力不足の現代に求められているでしょう。
どんな準備をしたか
前述の通り2018年の年末頃から「2019年夏、北海道リモートワークプロジェクト」が始まりました。
最初は自分以外のチームメンバーも含めた計画だったので、リモートオフィスの環境だけでなく、長期滞在のための生活環境も含めて調査をしていました。前述の通り、計画は途中から私一人のプロジェクトとなったため、「じゃ、実家(音更町)でいいや、宿泊費無料だし」ということに。
都市選定
チームメンバーも含めた計画では、帯広だけでなく北海道の以下の都市について検討をしました。
- 札幌および道央圏
- 北見
- 釧路
札幌および道央圏はすぐに浮かぶと思います。実際、チームメンバーの中にはプライベートで札幌に何度も行っている人もいるくらいです。ただ、札幌および道央圏の選択肢は良くも悪くも無難かなという感じでいました。交通に不自由なく買い物にも困らないことは素晴らしいですが、もうちょっと振り切りたいという気持ちもあります。
北見は知る人ぞ知る「テレワーク先進自治体」です。
市をあげて、東京の会社からリモートワークの誘致を行っています。そういう意味では、然るべき場所に直接相談しに行けば就労環境も滞在環境も賄えるのではという考えてもありました。
釧路は単純に涼しいという理由で挙げました。東京の人が夏の北海道で働く理由の多くは避暑ではないかと思っています。釧路であればその要求を満たしすぎるくらい満たしてくれそうです。
滞在しながら就労もするということで、田舎過ぎるのも問題です。少なくとも基本的な買い物に困らず、病気の時に行ける病院は必要でしょう。安心して仕事に集中するためにはその自治体内で生活が完結することは必要で、その意味でも人口10万人を超える市である必要はあるでしょう。北海道内で言えば、札幌および道央圏以外では、函館、旭川、釧路、苫小牧、北見、そして帯広です。
リモートでもできる仕事へ寄せる
実際に東京にいないと出来ない仕事が多いとリモートワークは難しいでしょう。
私のいるチームでは物理サーバを保守するという仕事もあり、故障の際は誰かがデータセンターへ行く必要があります。そういう仕事も、東京にいるチームメンバーにお願いできるようにする、クラウド化によって物理サーバの台数を減らして故障の確率を減らすといった策を進めました。
ビデオ会議システムが身近になったとはいえ、東京と遠方それぞれにいるメンバーが使い慣れていないと円滑な会議はできないでしょう。そういう学習は、東京にいるときから自宅リモートワークの日を作ることによって練習することにしました。また、実際に対面で空気感を共有することによって、リモートでも円滑に仕事ができる関係性作りも心がけました。
私の7月〜9月(2019年第3四半期)の仕事は、チーム内でもリモートに適したものに寄せてくれることになりました。ありがたいことです。
7月はどうだったか
本来の計画では7月に入ってすぐ北海道(地元)でリモートワークをする予定でしたが、評価面談あり、仕事のイベント運営ありといった状況で、リモートワークを始めたのは7月22日からです。
本来は、東京で「暑い!ツライ!」と言い、北海道で「涼しい!嬉しい!」と言って感謝することを想定していたのですが、今年の6月から7月上旬にかけての東京は非常に冷涼、そして7月下旬からは東京だけでなく北海道も猛暑に見舞われることになりました。なんだかありがたみが…。
ただ、満員電車といった人混みにまつわるストレスから解放されたことは大きいです。視線を上げると広々とした空間と自然が見えるのは素晴らしい。
今計画とは別ですが、地元にいることで対応可能なプライベートのタスクがいくつか偶発的に発生したことで、今回の地元リモートワークに助けられることになりました。
今後の展望
8月の予定ですが、イベント運営などの現地対応が必要なタスクがあるときは東京に戻りますが、1ヶ月のうち半分程度は地元でリモートワークをする予定です。
9月の予定は未定な部分が多いですが、8月同様を想定しています。例年、9月のシルバーウィークあたりに夏季休暇を取得して帰省するのですが、今年はリモートワークで滞在する予定でいます。
リモートワークで得られた知見をチーム内をはじめとした社内にフィードバックすることも念頭に置いています。リモートワークの効用や課題を洗い出して、他のチームメンバーの遠方リモートワーク実現にも活かしたいと考えています。
2020年の夏は東京オリンピックによって首都圏での移動が難しくなることが想定されています。それによって地方への「疎開」を検討する東京の企業も増えてきたと聞きます。そのときのためにリモートワークの知見をためて、その場所の選択肢の一つを提供することが私の北海道リモートワーク計画の今後の展望になりそうです。